モモ

 もしかすると今日から口からの食事が再開されたのかも知れない。母の失語症は日によって全く様子が違うわけだが、今日はたった一言「モモ」だけが聞き取れた。何の事なのかその場では分からなかったが家に戻りもう寝る時間になりやっと想像できた。恐らく「もも味のゼリー」の事だ。以前その袋が病室に置かれていたことがあった。そして恐らくその食事が今日提供されたが恐らく母は食べなかったのだと思われる。昨日カステラとどら焼きを食べた事を報告したため病院の食事が再開されたが母は抵抗したものと思われる。そのゼリーはキライなのだと思われる。それで以前と同様に吐き出す。今日はその押し問答のやり取りの殺気のような修羅場のような気が病室に未だ病室に漂っているかのような日だった。今日も又違う看護師さんから絶対に食べ物は与えないように!と釘を刺された。どこかで見た張り紙のよう。